2012年3月29日木曜日

風向きが変わった? & 風向きを変えよう

(朝日新聞digital2012年3月29日03時00分より)

しばらく前は、各マスコミは増税容認一辺倒だったように思っていたんですが、最近小沢元民主党代表が消費税増税反対の立場を明確にしたためか、報道の風向きも変わってきたように思えます。

今朝の朝日新聞には、消費税増税と税収総額の増減の相関についての記事がありました。
政府が安定財源を求めて税率を上げたが、消費税収の増額見込みは示しても、税収総額の増額見込みについては示していない、というものです。

野田政権は以前から、財政の危機を理由に増税を叫びながら、一方で、使途については、「社会保障と税の一体改革」という国民の耳に快いことを言っており、それではプライマリーバランスは改善されず財政は健全化されないのは、小学生の算数でも分かることで、しかし、この点を強く指摘した報道は、本当に最近になるまであまり目にしませんでした。
実は上記の記事も、そこを強調してはおりません。

そして、その点についての議論が尽くされたとは思えない民主党の事前審査が、前原政調会長一任で幕を閉じるという状態で、要は手続き論だけで増税を進行しようとしています(その最中であるにもかかわらず朝日新聞は、社会面で十分な巨人軍の過去の契約金問題で1面トップを飾るという、公器として許し難い世論霍乱を行いましたが)。

とにかく政府は説明責任を果たし、メディアは、政権に媚びることなく、また、ポピュリズムに堕すことなく、国民に対してきちんとした指針を示してほしいと思います。

話はかわりますが、オピニオンページの論壇時評に、私の高校の同級生である東京外語大の酒井啓子先生が「なぜ途上国に学ばないのか」という題の論文で、新たな視点を提示しています。

「私が常に疑問に思うことは、なぜ途上国で起きていることから学ぼうと思わないのだろう、ということだ。紛争地の悲惨な状況が報じられるたびに、読者はこう自問する。『では日本人に何ができるのか?』。だが『そこから日本人は何を学ぶのか?』という問いは、出てこない。」(上記論文より)

イラク戦争直後のイラクに入国した友人の話を通じて、個人の知恵を駆使して地元社会の生活を守ろうとする途上国の個人のたくましさを学んだ、と述べています。

「企業や政府の組織論理にとらわれず、個人や社会で工夫すること。それを学ぶ対象として国際情勢を見ると、違ったものが見えてくる。」(上記論文より)

本日の朝日新聞、又は有料サイトの朝日新聞デジタルで、全文を読むことができます。

3.11後の日本で必要なことは、この国で起こっていることについて、「お上」に考えてもらうのではなく、自分で考えることだと思います。

そのためにもメディアには、その判断に役立つ情報を流してほしいと思います。

酒井先生のような健全で賢明な有識者の論文を掲載することはもちろんですが、メディアが自前で、健全で懸命な論評ができるように基礎体力を向上させてくれることを切に望みます。

0 件のコメント:

コメントを投稿