2012年2月16日木曜日

最高裁が「パブリシティー権」の定義を示しました

nikkansports.com[2009年8月27日18時49分]

パブリシティー権とは、有名人が持っている、顧客吸引力(パブリシティー価値)を守る権利で、歌手、タレント等などの芸能人やプロスポーツ選手などがその顧客吸引力のもつ経済的利益ないし価値について持つ排他的財産権です。

俳優、歌手などの芸能人や、プロスポーツ選手などは、もともと自分の名前や姿が公衆に公開される職業を選択したわけですから、一般人に比べて、プライバシー権のような人格的利益の保護は大幅に制限されると考えられます。

人気者にはなりたいけれど有名になりたくない、などと考えるとしたら矛盾していますよね。

しかし、そのような有名人は、その名前や姿に、一般人が通常持っていないような利益が付随しており、これは保護に値する財産権です。

すなわち、有名人の名前や姿を広告宣伝に利用することによりその効果があがるので、人気があるほど出演料が高くなるという利益を有しています。

この利益は、当然に不法行為法(民709条)によって保護されるべき利益です。

今回、ピンクレディーが週刊誌のダイエット記事に写真を無断で掲載されたとして、発行元の光文社に損害賠償を求めた訴訟が最高裁までもつれこんだわけですが、判決では、従来下級審で判断が分かれていた「パブリシティー権」について、初めて法的な権利として認ました。

(1)ブロマイドやグラビアのように、写真(肖像)などを独立して鑑賞対象となる商品として使う
(2)キャラクター商品のように、商品の差別化を図る目的で写真などを商品に付ける
(3)写真などを商品の広告に使う
という3つの類型を示して、無断でもっぱら顧客吸引力を利用する目的で使用すれば、権利侵害になるというものです。

ただし、ピンクレディーの訴えについては、そのような権利の存在は認めつつ、写真が白黒で小さく、あまり強調されていないことから、「権利侵害はない」としてピンク・レディーの請求を棄却しました。

ただ、広告等の実務に当たる場合は、訴えが提起された段階で業務が滞ってしまい、お客様にご迷惑をおかけすることになりますから、「小さいからいいや」ではなく、必ず事前確認をすることが必要です。

また、今までも、「物(動物を含む)」のパブリシティー権は認められていませんが、そのことは踏まえたうえで、建造物等の写真を使用するなどの場合は、所有者にひと言あいさつをしておくべきなのは、法律というより人として当たり前のことではないでしょうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿