2012年3月17日土曜日

否認の病気


杉花粉が本格的に飛散し始めて、花粉症の皆さんはたいへんご苦労されております。

かく言う私も、昨年「杉花粉症」デビューを果たしました。
ただ、今年は1月から花粉症の薬を服用しておりますので、症状は軽微に抑えられています。

というのも、以前から「杉花粉」が飛ぶ少し前に、何らかの物質(2度検査しましたが特定できませんでした)によるアレルギー症状を発症していたので、対策は知っていたからです。
そして、元々アレルギー持ちだったので、「杉花粉症」になったことも、素直にカミングアウトしておりました。

しかし、世の中には自分が「杉花粉症」になったことをなかなか認めない方が多くいらっしゃいます。

元々人間は、自分が不調になったことをなかなか素直に認められないものですが、なぜか春先にくしゃみを連発し透明な鼻水をたら~りと流しているのに、「花粉症じゃない」と言い張る人が多いのです。

多分「自分のせいじゃない!」という気持ちが強く働くせいだと思うんですが、実は、それまで花粉症の人に対してちょっと上から目線で「たいへんですねぇ~」などと言っていた自分が発症してしまったことを、素直に認められないのではないか、とも邪推しております。

もう一つ、やはりなかなか自分で認められないのが「老眼」。
「自分は近眼なので老眼にはなりにくい」などという非科学的なことを根拠に必死に否認する場合が多いです。

私も、「テレビのCMで見たんですが、焦点固定って奴でしょうか」と質問して「いいえ、老眼です」と一刀両断されました。
老いを認めるのは辛いものです。

特に私は眼鏡をかけること自体が嫌いなので、弁理士受験でいよいよ答案記入が辛くなるまで、老眼鏡をかけませんでした。
今では遠近両用コンタクトレンズを愛用しております。

というわけで、当事大枚3万数千円を投じたカルバンクラインの老眼鏡は死蔵されています(T-T)

「否認の病気」で問題となるのは、病気であることを認めないために治療を受けることがなく、結果として症状を悪化させて日常生活に支障をきたすことです。
自分を客観視するのは難しいのですが、上記2つの症状以外のことについても、心がけていきたいものです。

ところで、「否認の病気」の中でも、特に自分だけでなく周囲にたいへん悪影響を及ぼすのが、「アルコール依存症」です。
これは忍耐力がない、とかの性格上の問題ではなく、明らかに専門家の治療が必要な心身の疾患なので、本人や家族の努力で何とかしようとせずに、なるべく早く病院に行かなければなりません。

冒頭の画像に挙げたものを含め、漫画家の西原理恵子さんに、患者の家族でありながら、客観的で冷静、かつ臨場感あふれた多くの著作があります。

癌で亡くなった西原理恵子さんの夫、鴨志田穣さんの「酔いがさめたら、うちに帰ろう」や、吾妻ひでおさんの「失踪日記」以下一連の作品にも、本当に笑い事でないアルコール依存症の実態(ただお三方みな達人なので程よくユーモアのオブラートがかかっているのですが)が描かれています。

誰にでも起こりうることなので、ご一読をお勧めします。

春一番を前にして、花粉症からの連想による雑感でした。

0 件のコメント:

コメントを投稿