2012年3月19日月曜日

田原総一朗氏の放射能知識

週刊朝日3/30号、「田原総一朗のギロン堂」の中に、目を疑う記載がありました。

昨年秋に福島県知事が、福島県産の米のセシウムについての安全宣言をした後、セシウム濃度が基準値を超える米が発見され、福島産の農作物が売れなくなってしまった後についてのものです。

「このときから、福島に残る農業従事者たちの本当の戦いが始まった。彼らは、地表を汚したセシウムを取り除くために農地を30センチ以上掘り起こし、地表部分の土を底に埋めた(太字、下線は筆者)。放射線量を測定器で事細かに計測し、徹底的に数値を明らかにした。」

農業従事者の方々がこういう行動をとってしまったことには、行政の不作為や、マスコミが放射能についての正確な報道を怠った不作為に負うところが多いとは思います。

しかし、放射性物質に汚染された土壌を深い部分に埋めて、その上に汚染されていない土壌をかぶせることは、「除染」ではなく、それどころか、地下水をはじめとして、環境に重大な影響を与える行為です。

直接農作物が水や栄養を吸い上げる深さだけは除染できても、その下に半減期30年のセシウムを埋めてあるのですから。

仮にも日本を代表する論壇人の一人である田原氏が、感情に任せて(のように読んでしまいました)このような安易な論評をしてもよいものなのか。
それとも、(まさかとは思いますが)放射性物質の危険性についての知識を欠いているのか。

それにしても、一番哀しいのは、編集部が無批判にこの原稿を掲載してしまったことです。

震災・原発事故報道においては、週刊朝日は朝日新聞を含めた新聞メディアやテレビメディアに比べて、はるかに真摯な態度で報道していると思っていたのに。

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