2012年10月12日金曜日

自己への客観性

中韓との緊張「日本から始めていない」 藤崎駐米大使
 
 【ワシントン=伊藤宏】藤崎一郎駐米大使は10日付の米ニュースサイト「ハフィントン・ポスト」に、中国、韓国との最近の緊張関係について投稿した。いずれの問題も「日本から始めたものではない」とし、「冷静な方法で対処を続けていく」と強調した。
 「日本は右傾化しているのか」と題する寄稿。藤崎氏はまず、尖閣諸島の国有化について「現状を維持し、冷静で安定した方法で島を管理するため」と説明。「所有権の移転であり、主権の問題とは何の関係もない」と強調した。一方、竹島については「最近の状況は、韓国の大統領による初めての訪問から始まったものだ」と指摘した。
 ワシントン・ポスト紙などが日本の右傾化を指摘する論評を掲載したことを念頭に、藤崎氏は「米メディアには日本のナショナリズムが増大しているという議論があるが、極めて誇張された見方だ」と指摘。「我々は緊張を高めるつもりはなく、それは誰の利益にもならない。求められているのは、我々の立場を明確にし、感情的になるのを抑え、国際法を尊重して平和的に対処することだ」とし、「日本は右傾化していない。我々はまっすぐに進み続ける」と結んでいる。
朝日新聞デジタル(2012年10月11日11時17分)より。

 
石原都知事のスタンドプレー、及び民主党政権のそれに対する「純国内向け対応」が、東北アジアに対し外交的にどのようなメッセージとして発信されたのか、その視点が欠けています。
 
尖閣諸島も竹島も、日本固有の領土です。
ただし、それをこの時期にああいう形で処理しようとすれば、日本は「領土的野心をあらわにした」と受け取る輩がいるのはわかりきったことです。
 
レームダック状態の韓国大統領を刺激したことだけでなく、歩み寄りがみられていた北方領土をロシア首相が訪問したことだって、そのメッセージが生じさせた化学反応なのです。
当該地域の「係争地化」を目指していた中国・台湾にとっては言わずもがな。
 
日本が「立場を明確にした」と思われてしまったから、まず周辺諸国が「感情的に」なり、そしてそれに対して日本の国内世論も「感情的に」なってしまっています。
 
村上春樹氏が冷静であるということだけで、日本人全体が周辺諸国より冷静であるということの証明にはなりません。
 
今まで何十年も「立場を明確にしなかった」ことを、筋論で云々するのも結構ですが、「棚上げ」で紛争を回避してきたのも事実です。
 
なぜ今だったのか?
 
石原都知事はその説明をしません。
 
発言が米国でなされたことから、日中関係を悪化させて相対的に米国の国益に寄与するためだったんじゃないかと、邪推したくなるぐらいです(陰謀史観‐笑)。
 
少なくとも、尖閣を国際的に係争地化したい勢力の利益にはなってしまいました。
 
「我々の立場を明確に」したいのだったら、まず我々のうち誰が「あのような立場」を明確にしたかったのか、それはなぜか、をまず検証する必要があります。
我々の大半は、意識的にか無意識的にかは別として、「今この時期に」尖閣諸島の領有権を国際的にアピールしたいとは思っていなかったと思います。
 
我々が何を言いたかった(あるいは言いたくなかった)か、ではなく、我々(一部ですけど)の発言がどう受け取られたのか、については自らをきちんと客観視して検証しなければなりません。
 
そうしなければ、今後外交的にどう対応していくかの指針を立てることができないのではないか。
 
丸い玉子も切りようで四角 ものも言いようで角が立つ
 
 
 
 

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