まず、今朝(2015/6/26)の朝日新聞デジタルからです。
記事の中で、
「オーストラリアも、多国籍企業が進出先の政府の法律や規制で期待する利益を上げられない時に、相手国政府を訴えることができる『投資家対国家間の紛争解決
(ISDS)条項』の導入に反発している。豪政府は、たばこ最大手のフィリップ・モリス(米国)から数千億円規模の損害賠償を求められており、連邦議会も ISDSの交渉に神経をとがらせている。」
とありますが、日本がこのISDS条項にいかに向き合うかについて、意見を述べていません。
この条項は、例えば地方自治体が給食の材料を「地産地消」するような条例を定めたら、米国産牛肉に対して 門戸を閉ざした、ということでその自治体に対して損害賠償が請求されるのです。
食品の原料に遺伝子組換えの表示を義務付けることについても、同様の訴訟が提起されます。
国家や自治体が、住民のために行う政策に、グローバル企業がいちゃもんをつけられるのです。
審理は、米国・ワシントンの国際投資紛争解決センター(ICSID)で行われます。
通商に関わる協定が、国家主権を超える、という異常な条項なのですが、私の知る限りで、なぜか日本のメディアはこの条項をあまり批判的に報道していません。
他人事のように論じないで、我が国のこととして、真剣に考えなければならない問題だと思います。
もうひとつ疑問があります。
米国のTPA法案成立が難航したのは、米民主党(言わずと知れたオバマ大統領の母体)を中心に、貿易自由化に関する失業者対策を定めた貿易調整支援(TAA)法案もセットで成立させることが求められたからです。
米国は、カナダやメキシコとのFTAの経験を通じて、貿易自由化によって自国内の雇用事情が悪化することを知っているのです。
米国内にも、TPPは米国民の利益のためではなく、米国に一応本籍地を置く多国籍企業の利益のためのものだ、という批判があります。
このことを端的に示すTAA法案のことを報じていながら、我が国に翻ってどのようなことが起こるかを予測したり、対策を提言したりしているメディアも、私は見たことがありません。
これらの情報は、オープンソースで簡単に得られるものです。
情報を垂れ流すだけで、分析を行わないのでは、メディアの資格を問われても仕方がないのではないでしょうか。
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